障害年金を請求するとき、医師が作成する診断書はとても重要です。診断書には、病名、症状、治療内容、検査結果、日常生活の状況、仕事への影響などが記載されます。そのため、「障害年金は診断書だけで決まるのではないか」と思われる方も少なくありません。
しかし、障害年金は診断書の内容だけで機械的に判断されるものではありません。診断書に加えて、日常生活や仕事にどのような支障が出ているのかを具体的に伝えることが大切です。
たとえば、うつ病や統合失調症などの精神疾患では、外見だけでは困っている様子が分かりにくいことがあります。食事を用意できない、入浴ができない日がある、掃除や片付けができない、買い物に行けない、通院や服薬を一人で管理できない、人と話すことに強い不安があるなど、生活の中でさまざまな支障が出ることがあります。
脳梗塞や脳出血などによる肢体障害では、歩くこと、階段の昇り降り、着替え、入浴、トイレ、外出などに支障が出ることがあります。杖や装具を使っている場合、転倒の不安がある場合、家族の付き添いが必要な場合には、その状況も大切な判断材料になります。
がんや内部疾患の場合も、検査結果だけでは生活上のつらさが伝わりにくいことがあります。強い倦怠感、息切れ、痛み、抗がん剤治療などの副作用、通院回数の多さ、仕事を続けることの難しさなどを具体的に整理しておくことが重要です。
このような日常生活の支障を伝えるために重要なのが、病歴・就労状況等申立書です。病歴・就労状況等申立書には、発病から現在までの経過だけでなく、生活や仕事にどのような影響が出ているのかを記載します。
ただし、「つらいです」「大変です」「困っています」と書くだけでは、実際の状態が十分に伝わりにくいことがあります。大切なのは、どの動作が難しいのか、どのくらいの頻度で困るのか、家族などの援助が必要なのかを具体的に書くことです。
たとえば、外出や移動について、「歩くのが大変です」とだけ書いても、どの程度困っているのかが伝わりにくいことがあります。実際に、杖を使用しても長い距離を歩くことが難しい、通院や買い物の際に家族の付き添いが必要である、といった事情がある場合には、その状況を具体的に記載することが大切です。
また、障害年金の請求では、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が大きく食い違わないようにすることも大切です。診断書には「日常生活に援助が必要」と書かれているのに、申立書では「ほとんど自分でできる」と読める内容になっていると、実際の障害状態が正しく伝わりにくくなることがあります。
反対に、申立書に重い支障を書いていても、診断書の内容と大きく異なる場合には、説得力が弱くなることがあります。そのため、診断書の内容を確認したうえで、日常生活の支障を分かりやすく整理することが重要です。
障害年金で日常生活の支障を伝えるときは、食事、入浴、掃除、洗濯、買い物、外出、通院、服薬管理、人とのやりとり、仕事への影響などを具体的に振り返ってみましょう。
障害年金は、病名だけで判断されるものではありません。診断書の内容に加えて、日常生活や就労状況にどのような支障があるのかを丁寧に伝えることが大切です。病歴・就労状況等申立書を通じて、診断書だけでは伝わりにくい生活上の困難を具体的に補足することが、障害年金請求の重要なポイントになります。


