障害年金のご相談の中でも、「知的障害で障害年金を受給できるのか」「発達障害で障害年金の申請はできるのか」「20歳前障害の場合、初診日はどのように考えるのか」といったご相談は少なくありません。
知的障害や発達障害の場合、幼少期から日常生活や学校生活で困りごとがあったものの、障害年金の申請を検討する段階になって初めて、初診日や生活状況の整理が必要になることがあります。
このブログでは、20歳前障害の障害基礎年金について、知的障害・発達障害で申請する際のポイントをわかりやすく解説します。
20歳前障害とは
20歳前障害とは、20歳になる前に初診日がある傷病や障害により、障害の状態になった場合をいいます。
知的障害、発達障害、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症などで、幼少期から日常生活や社会生活に支障がある場合、20歳前障害として障害基礎年金を申請できる可能性があります。
20歳前障害の場合、原則として障害基礎年金の対象となります。障害基礎年金には1級と2級があり、診断名だけで等級が決まるわけではありません。実際には、食事、身の回りのこと、金銭管理、通院、対人関係、就労状況など、日常生活にどの程度支障があるかが重要になります。
なお、20歳前に厚生年金に加入していた期間がある場合は、初診日の考え方に注意が必要です。厚生年金加入中に初診日がある場合は、原則として障害厚生年金の対象となりますが、障害の種類や受診歴によって取扱いが異なる場合があるため、個別の事情を確認することが大切です。
知的障害で障害年金を申請する場合の初診日
知的障害で障害年金を申請する場合、初診日は原則として出生日として取り扱われます。そのため、病院の初診日を細かく証明することよりも、幼少期から日常生活や学校生活で支援を必要としていたことを示す資料が重要になります。
たとえば、療育手帳の取得状況、児童相談所での判定記録、特別支援学級や特別支援学校の在籍歴、通知表、成育歴に関する資料などが参考になります。
資料が十分に残っていない場合でも、幼少期の様子、学校生活での困りごと、就労状況、家族の支援内容などを整理することで、障害の状態を伝えやすくなります。
発達障害で障害年金を申請する場合の注意点
発達障害の場合は、知的障害と異なり、必ずしも出生日が初診日になるわけではありません。発達障害の症状により、初めて医療機関を受診した日が初診日となるのが原則です。
たとえば、不登校、対人関係の困難、仕事が続かない、こだわりが強い、臨機応変な対応ができない、集団生活になじめないなどの事情により、精神科や心療内科を受診した場合、その受診日が初診日になることがあります。
発達障害で障害年金を申請する場合は、「いつ」「どこの医療機関を」「どのような症状で受診したのか」を確認することが重要です。初診日がはっきりしない場合は、過去の診察券、紹介状、診療明細、学校や福祉機関の記録などを確認することもあります。
障害年金の審査で重視される日常生活状況
知的障害や発達障害の障害年金では、診断名だけで受給の可否が決まるわけではありません。障害年金の審査では、日常生活でどの程度の援助や配慮が必要かが重要になります。
たとえば、次のような事情は大切な判断材料になります。
・食事の準備や栄養バランスの管理が難しい
・金銭管理ができない
・服薬管理ができない
・身の回りのことに声かけが必要
・対人関係でトラブルが多い
・予定どおりに行動することが難しい
・単独で外出や手続きができない
・就労しても継続が難しい
・職場で配慮や支援を受けている
これらの事情は、診断書だけでなく、病歴・就労状況等申立書にも具体的に記載することが大切です。
病歴・就労状況等申立書で伝えるべきこと
障害年金の申請では、診断書とあわせて病歴・就労状況等申立書の内容も重要です。
知的障害・発達障害の場合は、幼少期から現在までの経過を整理し、学校生活、家庭生活、対人関係、就労状況、家族の支援内容などを具体的に記載することが大切です。
たとえば、学校生活では、集団行動が苦手だったこと、友人関係がうまくいかなかったこと、授業についていくことが難しかったことなどが考えられます。
就労面では、仕事を覚えられない、指示を理解できない、対人関係でトラブルになる、短期間で退職を繰り返している、職場で配慮を受けている、といった事情が重要になることがあります。
単に「困っている」と書くだけではなく、どのような場面で、どの程度困っているのかを具体的に整理することが大切です。
まとめ
20歳前障害の障害基礎年金は、知的障害や発達障害のある方にとって大切な制度です。ただし、知的障害と発達障害では初診日の考え方が異なります。また、20歳前に厚生年金に加入していた期間がある場合は、初診日の考え方に注意が必要です。
知的障害・発達障害で障害年金の申請を検討する場合は、初診日だけでなく、幼少期から現在までの生活状況を整理しておくことが大切です。学校生活、就労状況、対人関係、金銭管理、食事を含む身の回りのこと、家族の支援内容などを具体的に確認し、診断書や病歴・就労状況等申立書に、日常生活で困っていることが正確に伝わるように準備しましょう。


